キラキラ大島雑記帳

インディーズレーベル『キラキラレコード』代表、大島栄二の日記です

どうしても変わりたくない

 いやはや、面白い感じになってきた。特捜は火がついてきたという感じだ。小沢一郎氏の関連を一斉家宅捜索したわけだが、とにかく小沢一郎を許せないということなのだろう。何がそんなに許せないのか?この事件が国を揺るがす大悪事だと考えているのか、それともこの事件が自らの存在をアピールするには格好の素材だと考えているのか、さらには一部で報道されているような、自らのトップ人事を死守したいために対立する存在を排除するために動いているのか。特捜の真の目的がまったくわからない。自らの存在をアピールとか、人事のための捜査だとかであれば論外だが、心の底からこれが大悪事だと考えているのだとして、それで今回のような家宅捜索を行ったのだとすれば、そもそもが国家というものについての見識が低すぎると思うし、それが正義だとするならば、歴史は不正義の積み重ねでここに至ったと言わざるを得ない。過去の英雄たちも皆極悪人となるだろう。なぜならば、時代の変化に即応するように社会も変わっていかなければ遅れを取るわけであり、社会が変わるというのは旧体制にとって極めて都合の悪い事態である。そういった都合の悪い事態を断罪するのが旧体制にとっての法ということになる。例えていえば、坂本龍馬も下士出身で、そんなのが国政に影響を与えるなんていうことはとんでもないことだったということだろう。その当時のトップたちは、幕府体制を維持するために汲々としていて、開国などはとんでもないという意識だった。社会体制が変わらないことが何より大切であり、それに反する動きは全て悪だというのであれば、今も鎖国を続け、身分社会の下で、町民は武士に切られても文句は言えないという「ルール」を正義として生きる社会に僕らは暮らすということになるだろう。だがそうはなっていなくて、当時に比べると比較的平等な社会に生きることができていて、個人的には幸せな方だと思う。だが、それでも社会は常に変わり続けなければ時代に取り残されてしまうし、そのためには誰かが現行社会を変えていこうと動いていかなければいけないのだと思う。僕は17年前の自民離脱から一貫して小沢一郎の動きをそういうものだと考えている。しかしそれを苦々しく思っている人々も少なからずいるというのが現実のようだし、自民党のような旧体制の政治家はもちろん、官僚や報道陣にも、さらには国民自身にも、自覚しているしていないはともかく、体制を死守しようと張り切って(?)しまっている人たちはたくさんいるようだ。それが政権交代まで16年かかった大きな原因なのだろう。そして政権交代した今もその抵抗は続いている結果がこの捜索なのだろうと思う。幕末だって新撰組などは幕府大事で殺戮を繰り返してきた。彼らには彼らの正義があって、それはそれで純粋なものだが、社会の変革にはやはり反してしまっていて、結果として新撰組は壊滅に向かう。だがもしも新撰組の理念が正しく、活動が成就していたとしたら、明治政府は生まれていないということになってしまうのだろうし、その後の日本はないということになってしまうのだろう。それが僕らにとって良かったということなのだろうか?

 まあそういった歴史認識はともかく、今回の問題についての話がどう問題なのかというと、政治資金の虚偽記載だったり、土地購入の4億円が不明瞭だということだったりする。この根本としては、小沢一郎は不正な金で蓄財をしているのではないかという疑いがあるということなのだろう。個人としての蓄財と、政治信条という問題は別であり、政治家によっては蓄財のために信条を振りかざしている場合もある。今の検察の動きというのが、改革への恐れからくるものではなく、単に個人として不正な蓄財をしようとしていることが問題だとしているのであれば、いっそのこと小沢一郎氏は破産宣言でもすればいいと思う。もちろん、現時点で借金などあるのであれば一切を返済するなど、債権者に迷惑をかけないでということだが、破産宣言をすることで個人資産への執着など無いという姿勢を示したりすれば、特捜はともかく国民はかなりの点で納得するのではないだろうか。要するに小沢一郎は個人のために政治を利用しているのか、それとも改革のために政治生命を捧げているのか。そのどちらに重きが置かれているのかということである。個人のために政治を利用しているのであればそもそも自民党から離党しないはずであり、その事実だけでも彼の立場は理解出来ると思う。しかしながら改革に抵抗する立場からは、いろいろな方法を講じて改革者を潰そうという動きがあるだろうし、ただ一点の曇りによって立場そのものを失わせようとするのが、こういった事件の立件だとすれば、根本論に立ち戻って、個人的な蓄財の意欲は全くないとして、小沢氏が破産宣告をし、資産家として知られる夫人とも形式的には離婚して財産を分離させ、個人的パトロンとして支えるというくらいのことをすればいいと思う。そうすると多くの国民も「潔白はそこまでしなければ証明出来ないのか」という気持ちになるだろうし、そうなることによって、本来進めたい政治改革を前進させられるのであれば、その犠牲にも意味があるといえるだろう。その昔であれば、抵抗勢力は改革者を排除するために暗殺を行っていたのだ。それに比べれば、破産や離婚などは屁でもない。