キラキラ大島雑記帳

インディーズレーベル『キラキラレコード』代表、大島栄二の日記です

リリース

 11月から来年の1月までの間にすでに6タイトルの商品リリースが決まっていて、もしかするとその他に2タイトルほど入ってくるかもしれない。そりゃ忙しいわな。たくさんリリースできることの喜びはもちろんあるが、ただリリースするというだけではダメだ。それらが売れるということに対して責任を持って努力をしていくということ。それはもちろん判っているが、なかなかそう簡単にいくことでもないことも周知の事実だ。

 それでいろいろと策は講じる。具体的な内容はここでは控える(なにせ、アーチストによって状況は異なっているし、状況が異なれば対策も違ってくるので)が、策を講じる以上、そこでの労働が単純に増える。労働が増えることを嫌がっているわけではないが、じゃあこの労力がどう結果に活かされているのかということを考えたりすると、あれをやった方がいいんじゃないか、これをやった方がいいんじゃないかとか、いろいろなことを考えて、また振り出しに戻る。

 やれることを、今やるだけだ。と。

 バンドマンにもそれはいつも言っていることで、今「武道館でライブやりたい」とかいっていても出来ないバンドの方が圧倒的に多いわけで、だとすれば、やはり今できること、それはあるバンドにとっては20人の動員を確実にすることだろうし、別のバンドは200人のワンマンに向けて邁進することだろう。いずれも、武道館にはほど遠い。しかしそういう目先のことを着実にやる以外に、武道館への距離は絶対に縮まらないと思う。

 先日もデモを聴いたバンドへメールを送ると、電話が返ってきて「キラキラレコードさんの言っていることも判らないじゃないんですけれど、もっと僕らの音楽を認めて、それに見合った対策とか、サポートとか、いろいろしてもらうことは出来ないんですかね」とか言われる。もちろん、キラキラレコードはすべてのバンドに対して同じことをやっているわけではないから、個々の音楽性や活動状況などを確認した上でもっとも適切だと思われる提案をしたりしている。とはいっても、物事には幅がある。それはキラキラレコードのキャパシティーとも絡んでくる話だが、一方では彼らの状況を瞬時には把握できないということも大きな理由だったりする。

 つまり、出会いの時から相手のことを100%理解など出来ないし、それは相手も同じだろうと思うのである。ミュージシャンとレーベルも、始めてあったクラスメイトも、お見合いで出会った男女も、いずれパートナーとして信頼しあえれば素晴らしいが、最初は誰もが半信半疑だ。そういう中で、いろいろなプロセスをすっ飛ばして関係を深めるというのは、お見合い開始5分でプロポーズをするというようなものだと思う。それが出来るとしたら、それはもうものすごい眼力の持ち主か、そうでなければよほどの無責任かどちらかである。キラキラレコードとしてはそれほどの眼力もなければ無責任でもないので、ミーティングもしないでデモを試聴しただけで突っ込んだ話(プロポーズクラスの)は出来ないと考えている。もしもしたとすれば、その時は唐突の申し出に相手は困惑し、離れていくだけだろうと思っている。

 でも、その電話のバンドマンは、プロポーズクラスの提案を期待していたのだろうな。よほどせっぱ詰まっていたのだろうか? しかしそういう問いかけに対応するほどこちらも不用心ではないし、そういう超イレギュラーな行程を経ていく作業が許されるほどに、現在の僕の状況は暇じゃないのであった。